マキエンタープライズが、Unicode・多言語対応 HTML エディタ《Muwse》の最新版 1.09 を公開した。このバージョンから Mac OS X 用の Carbon 版が含まれるようになり、言語ごとに書き出しのエンコード方法が指定できるようになった。Mac OS 8.0 以降のOS と Text Encoding Converter 1.31 以降がインストールされた PowerPC Mac が必要。8800円。同社サイトからダウンロードできる。
24日附「Mac OS X 中文版レポート(1)」は、ICQ のくだりが当初掲載した拙訳では誤訳のため意味不明の文になっていましたので、訂正しました。この他の箇所も多少読みやすく書き直しました。
待望の Mac OS X 10.0.4 へのアップデートがあった。
中文 Mac サイトの情報によれば、今回のアップデートは「Mac OS X 中文版」には適用されないという。大きめのアップデートまでのしばらくの間、Mac OS X は「7言語版」と「15言語版」の2系統が並立することになるのかもしれない。日本で Mac OS X の
当『蘋果派』ではその日に備えて「Mac OS X 中文版」についてのレポートを翻訳・紹介していくことにした。
まず今回は老地方冰果室に12日附で掲載された麻辣杯麺氏によるレポート「麥金塔軟體特別報導:Mac OS X 中文版 初試啼聲」の内容を以下に日本語訳して紹介する。画像についてはオリジナルの画像データにリンクを張っている。今回は、背景の説明のためかなりの分量にわたる脱線気味の訳註をつけた。
全世界十数億人の華人の切なる期待の中、Mac OS X 中文版が昨日 (台北時間6月11日) 昼、正式に発表された。実際には、ゴールデンマスターが非公式にかなり出回っており、パワーユーザなら既に遊び倒しているかもしれない。中国や香港のマニアも何らかのルートで入手しているそうだ。老地方冰果室のエディターは、幸運なことに Mac OS X 中文版発表後すぐに試用する機会を得た。皆さんにも新 OS の姿をお見せできるように、急いでこのレポートを仕上げた。
Mac OS X 中文版インストール時には、繁體中文などの言語が英文版に追加されている (図1)。それ以外インストールのプロセスは従来のバージョンと同じで、すべてのインタフェースが中文になっているだけだ。もし初めてのインストールなら、システムと Finder は直接中文環境に入る。そしてこの Mac OS X のバージョンは10.0.3になっている(図2)ので、改めてシステムをアップデートする必要はない。もし Chinese Language Kit [を追加した Mac OS 英語版] を使うのに慣れているか、中文インタフェースを見たくない場合は、インストーラ起動時に、英文インタフェースを選べる。インストール終了後まず
系統預置 パネルから「國際化 」というオプション (図3) を選び、「語言 」の設定の中で「繁體中文」を一番上にドラッグする (図4)。下の「語系 」設定は、各スクリプトごとのテキストの特性を定義するもので、繁體中文に用意された選択肢は「Big-5」だけだ。今度は「鍵盤清單 」で繁體中文をチェックする (図5)。この後、一旦ログアウトしてもう一度ログインすると、OS X の中文環境はインストールが完了する。ご注意いただきたいことがある。上書きインストールをしたい方が多いかもしれないが、こうした方法は多くの問題を起こすおそれがある。上書きインストールの後、たくさんの書類の所有者・モードが乱れ、わざわざ自分から面倒を引き起こすことになるからだ。Apple もこうした方法を推奨していない。
「
日期與時間 」での「時區 [=タイムゾーン]」 の設定では、台湾が遂に「独立」しているのを見つけることができる(図6)。もう以前の英文版とはちがい、Taiwan の後に (a Province of China) [中国の一省] と付かなくなったのだ [訳註1]。これまでに OS X をインストールした人は、これらの文字を見て納得できなかったに違いない。OS が中文化されたのだから、いきおい、ふだん使うアプリケーションで中文が使えるかどうかを確かめたくなる。まずはブラウザを見てみよう。システムと一緒にインストールされる Internet Explorer 5.1 について言えば、以前と変らずウィンドウのタイトルバーでもプルダウンメニューでも正常に中文を表示することができない (図7)。しかし、オープンソースの Mozilla [訳註2] は、タイトルバーこそ中文が化けるものの、メニューの中では別のブラウザ OmniWeb と同様に中文を表示することができる (図8)。おまけに Internet Explorer・Mozilla・OmniWeb の3種のブラウザで比較すると、やはり一番遅いのは Internet Explorer だ。このような状況が続くようなら、Internet Explorer は出直した方がいい。しかし、Mozilla の操作スピードは、システムが足を引っ張っていて、以前の英文システムほど速くない。特にウィンドウの伸縮などで顕著だ。同様の問題は ICQ でも起る (図9)。Mac OS 9.x では、ICQ は中文フォントを選ぶことができたが、FontPatchin' を使わなければ正確に中文を表示させることはできなかった。Mac OS X でも同様で、OS の見た目をカスタマイズできるユーティリティ Tinker Tool でフォントの設定を変更しても、やはり解決にならない。このような状態は Mac OS X 版の FontPatchin' が出るまで解決できないのだろうか? このようなわけで目下 Mac OS X 上の ICQ でチャットをするには、双方に英語力が必要になるだろう [訳註3]。
電子メール。まずシステム標準の「Mail」で送受信してみるには、当然先にメールアカウントの設定をしておく必要がある。その後「
取得郵件 」をクリックすると、メールをとってくる。確かに中文に問題がない (図10)! 続いて中文のメールを送信してみる。中文入力ができるのは当然だと思う (図11)。しかしどの入力方法を使うかは頭の痛い問題だ。Mac OS X 標準のインプットメソッドは、Mac OS 9.x までと同様、倉頡・大易・拼音 ・注音・内碼があり、一つも減ってはいない。けれども私は注音入力しかできず、以前から相当漢音を頼りにしていて、そこそこの入力速度まで習得した。いきなり [繁體中文インプットメソッドの] 注音入力モードに逆戻りでは、文字の選択だけで乾涸 らびてしまいそうだ[訳註4]。きっと大多数のユーザにしても同様で、もしも Mac OS X 版の漢音のリリースがだいぶ経っても行われないようなら、あるいは他の入力方法を覚え直さなければいけないだろう。Mail 以外の電子メールソフトの中文への対応はどうかというと、Mozilla のメール機能は、中文の入力と表示は正常だ (図12)。メールの受信は、試していないので知ることができないが、大きな問題はないだろうと思われる。
最後に中文フォントの選択について見てみよう。Mac OS X は Classic のフォントリソースを共有できるので、Mac OS X のソフトで他の中文フォントに自由にアクセスできるか、簡易ワープロ TextEdit で、
華康 と畢昇のフォントで何文字か打って試してみた (図13)。図中、上から順に華康粗黒 ・華康隸書・華康粗明 ・華康行書が表示されている。畢昇フォントは、残念なことに Mac OS X と完全に互換性がなく、Mac OS 9.1 上の Adobe Illustrator でも使えないので、まるでシステムから取り去ってしまったかのように見える。一番下は、システム標準の大陸の楷書フォントを選択した。面白いことに、繁體字・簡体字共通の字形のものは変換でき、[大陸でふだん使われない] 純粋な繁體字の字形[訳註5]のものは変化しない。中文 OS であるからには、フォルダ名も中文が表示できなければおかしい。奇妙なことに、同じハードディスクの中のフォルダでも、中文のものもあれば、文字化けしたものもある (図14)[訳註6]。これは個人的問題だが、システムにはたしかにバグがあるので、更に研究が必要だ。
全体的にいって、このバージョンの Mac OS X には、Apple の中文環境への努力が見て取れる。しかしテストの過程を以前インストールした英文版と比較すると、スピードは20%は遅く、今いちばん速い Mac で走らせても、満足できるパフォーマンスは出ないだろうと思う。知らないことについては語れない。システム内のあれこれについて私はまだ模索中の段階なので、議論するわけにはいかない。冰果室スタッフのシステムの達人による分析を待つことにする。しかしシステムのスピードとサポートするアプリケーションを見ると、Mac OS X の進むべき道はまだまだ長い。
[1] Mac OS X Public Beta や以前のバージョンではどうだったか記憶していないが、手許の Mac OS X 10.0.3 でも、日本語インタフェースでも英文インタフェースでも「台湾 = Taiwan」だけで、すでに“独立”を果たしている。Mac OS 9.1 日本語版の《日付 & 時刻》コントロールパネルでも「台北」の所在地は「台湾」としか書かれていないし、Mac OS 9 繁體中文版の《日期與時間》も「Taiwan」だ。ちなみに見出しは、日本語版コントロールパネルでは「国または地域」だが、繁體中文版では「國家」になっている。これは、何かの政治的な配慮だろうか。なお簡体中文版でどうなっているかは、訳者には確認できない。
[2] 原文は《Mozilla》を「魔斯拉恐龍」と訳している。ゴジラが「哥斯拉」と表記されるのでそれをもじったものだろうと思われるが、「魔斯拉」は規範的な標準中国語では「モスラ」と発音し、実際にモスラの中国語名として使われている。地域によって「モシラ」のように発音することもある。
[3] こういった場合、日本語話者ならば日本語ローマ字を使うことになるだろうが、中国語話者の場合、中国語ローマ字は選択肢になりにくい。
日本の中国語学習者が最初に学ぶ「漢語
また華人=中国人と中国系の人=といっても、香港など標準中国語を日常あまり使わない地域の人もいる。たとえば香港人はふつう口語では、標準中国語とかなりかけ離れた
なお、大陸出身者同士でも、漢語
[4] このあたりはややこしいので文中にも註記をし、文脈によって「注音輸入」の訳語を変えておいた。
原文の「注音輸入」は、日本語の環境に置換えれば「カナ入力」にあたり、《繁體中文》
Mac OS X 中文版に含まれる《繁體中文》インプットメソッドは、どうやら従来の Classic Mac OS と Chinese Language Kit の同名のものを Mac OS X 用に書き直しただけのようで、台湾の Mac ユーザには評判がよくない。従来の《繁體中文》インプットメソッドは逐次単漢字変換を基本としており、Mac OS X 版でこの点が大きく変ったという報告はない。そういったわけで《繁體中文》インプットメソッドしか使えない現状の Mac OS X 中文版は、日本に置換えると《ことえり》しか使えなかった Mac OS X Public Beta より始末が悪いのではないかとすら思える。
一方《
[5] 「純粋な繁體字」というのは、図13でいうと簡体字フォントを選びなおした最下行で繁體字のままの「輸」「測」「試」の3文字のような文字のこと。これらに対応する字は簡体字文字セットでは簡略化された字形 (输・测・试) が採用されていて、両者は Unicode では符号位置が異なる別の字として扱われる。《TextEdit》など Unicode ベースアプリケーションのこの振舞については、当サイトでも「Mac OS X Public Beta 試用記」の「コードコンバータ?」の項で触れた。
[6] 手許の Mac で見る限り、ファイル名の中に複数のスクリプトに属する文字が混在している場合 (たとえば、繁體中文のファイル名の末尾に、MacRoman 固有の「ƒ」がついているフォルダなど) や、プライマリスクリプトとファイル名のスクリプトが違う場合 (たとえば繁體中文版 Mac OS 9 上で解凍された日本語名のファイルなど) に文字化けが起るようだ。
4箇月半ぶりに中文版を更新しました。今後はできれば定期的な更新を、と思うのですが、うまくいきますかどうか。
AppleUnion.com 苹果聯盟が、簡体中文版のスクリーンショット集 Mac OS X 中文版圖集を掲載している。簡体中文版のシステムフォントも、従来の「
昨日 (13日)、簡体中文版の Mac OS X サイトについて、「ようするに英文サイトを訳しただけ」と書いたが、より正確には、「ようするに英文サイトを中訳しただけの繁體字サイトをさらに簡体字に変換しただけ」と訂正した方がよいようだ。
《Netscape 6.1 Preview Release 1》が公開された。《Netscape 6.01》より幾分軽快で、あまり細かいことを気にしなくてもよくなったように感じる。Microsoft が嫌いで《Internet Explorer 5》を使わず、かといって《Netscape 6.0x》では重く、日々改良される《Mozilla》では敷居が高く感じられ、結局《Netscape Communicator 4.7x》を使い続けている人たちに、「Mozilla 0.9.1」系のモダンなブラウザの恩恵を以前より気軽に体験して貰いやすくなったのではないかと思う。日本語ローカライズ対応や正式バージョン登場の後は従来以上の普及が期待できそうだ。
老地方冰果室にさっそくスクリーンショットを交えたレポート「麥金塔軟體特別報導:Mac OS X 中文版 初試啼聲」が掲載された。Version 10.0.3 (Build 4M23) だそうだ。ほか、同サイトの掲示板への書込みによると、やはり《
Mac OS X 中文版の発表と「同時期に、いままでのMac OS Xのアップデイトもあるということかな?」(いぬ日記)“10.0.5”の噂が伝えられて以来、同じ期待をしながら、《ソフトウェア・アップデート》を日々起動しているけれども、よい返事はまだ。(ディスクスペースに余裕がないと、アップデートできない場合もあるのでそのせいかもしれないが……。) 3月24日リリースの「英文版」(と台湾では呼んでいる) からも一日も早くきちんと中文対応にアップデートできるように期待しているのだけど、もっと大きなアップデートまで待たされそうなイヤな予感もする。(多謝>いぬ日記)
北京苹果屋が、Mac OS X 中文版の正式なバージョンが6月19日に北京・京廣中心で発表されると伝えた。本項更新時点では、
台湾の Mac 販売店「麥克屋」の Web サイトにある麥克園地によると、Mac OS X 中文版がMac 各機種にバンドルされるのは、7月中旬からだという。
4日附で公開された Tech Info Library「Mac OS X 10.0: (2Z691-3064) CD Installation Information」は、6月リリースの Mac OS X 10.0 CD (2Z691-3064) は、新たに追加サポートした8言語の使われる国でのみ入手可能としている。
どうも Mac OS X の登場後、Mac 関連で使われる表現にわかりづらいものが増えてきたように思えてならない。
「○○語をサポート (○○語に対応)」が〈○○語に翻訳されたインタフェースを追加する〉ことを表していたり、「マルチリンガル」が〈複数のローカリゼーションを含む〉ことだったりというのは、Mac OS X の国際化対応を考えると、確かに間違いではないが、かなり強い違和感がある。
これまでコンピュータと関係する限り「マルチリンガル」は、日本語・中文などスクリプトが異なる複数の言語の文字を扱う「多言語処理」、特に一つの文書なりウィンドウなりに一緒に表示・入力できる「多言語混在」が可能な状態を指してと使われることが多かった。少なくとも書籍『電脳外国語大学』や今はなき雑誌「マックブロス=MacJapan Bros. 改題」(ともに技術評論社発行) に“導かれて”Mac ユーザになった私はそう理解してきた。日本語版アプリケーションだからといって、中文や韓国語といった他の2バイト言語の文字を表示・入力できるとは限らなかったし、多言語混在ができるアプリケーションでも英語版しかない場合もよくある。
この辺りのズレがたとえば「Mac OS X 対応,マルチリンガルの「OmniWeb 4.0.1」発売」という記事に抵抗を感じる原因だろう。
また、「ユニコード対応アプリケーション」という表現はどうにも紛らわしいと思う。これは Mac OS X 用の《ことえり》の文字パレットに使われている言葉で、Mac OS 9.1「Mac ヘルプ」が、
Unicode を認識できるアプリケーション (「WorldText」など)
Unicode 文字を表示できるアプリケーション (「WorldText」など)
といい、Mac OS X「Mac ヘルプ」が、
Unicode に対応したアプリケーション (「TextEdit」など)
と呼んでいるもののと同じものだ。
「対応」や「認識」では、《Jedit》や《UniText》《Tex-Edit Plus》《Style》といった Unicode テキストを読み書きできるテキストエディタや、Web ブラウザや HTML エディタ・メールソフトのうち UTF-8 の情報を扱えるものと区別しづらい。これらとの区別を考えて上記四つの中であえて比べれば、収まりが悪いが、「Unicode 文字を表示…」が一番よいだろう。
それでも、では「Unicode 文字」とは何かとなると、やはりつかみづらい。これまでの Mac OS で使われてきた基本文字セット (たとえば、日本語の MacJapanese≒JIS X 0208 や簡体中文の MacChineseSimp≒GB 2312) のほか、拡張文字セット (日本語の JIS X 0212:1990=補助漢字や簡体中文の GBK、その他各種文字・記号) にある文字をひとまとめにしたUnicode 文字セットを、Unicode 並びでエンコードした「Unicode スクリプト」の文字のことだろう。拡張分の文字は、先に挙げた数年前からあるアプリケーションでは扱えない。
これまで当サイトでも使ってきた「Unicode 対応アプリケーション」というのは用語として曖昧だ。「WorldScript 対応アプリケーション」と同様に、できれば「ATSUI 対応アプリケーション」とか「MLTE 対応アプリケーション」と呼びたいが、それが正確かどうか私には判断できない。とりあえず当サイトでは今後、「Unicode ベースアプリケーション」と呼ぶことにする。